スキコンの誕生秘話を
開発担当のキーパーソンに聞く!

かつてない化粧水を。そんな想いから生まれたのが「スキンコンディショナー エッセンシャル」―――通称“スキコン”。その開発にはどんなプロセスがあり、そこにはどんな想いが込められていたのか? さまざまな肌に感動をもたらし、“かけがえのない1本”としてアルビオンの成長を支えてきた スキコン。その歴史と進化について、ターニングポイントに携わった開発担当者が語ります。
大塚 裕子(商品開発本部 執行役員副本部長)
丸島 陽子(商品開発部 部長)

白濁、和漢植物、香り…
何もかもが新しい、白い化粧水

大塚 「化粧水は当時、朝は収れん、夜は保湿の2種類を使うのが常識で、それを一本化したいというのが始まり。さっぱりとしているのに、後肌がしっとり潤うスキコンは画期的でした。また、当時の多くの化粧水は透き通ったピンク色や水色だったのですが、あえての白濁。見た目の白さや爽やかでグリーン系の香りも、“世の中にないものを生み出す”アルビオンならではの独自性だったといえます」

当時のスキコン開発者が残した
言葉のドラマ

丸島 「初代スキコンの開発者がこんな言葉を残しています。“しんしんと脈打つ刺激感”・・・そうゆう肌実感を狙いたい、と。スキコンは、また使いたくなるような独特の感覚が特長で、それはみずみずしいテクスチャー、ひんやりとした清涼感、心地よい刺激、パッティングするたびの香り立ち…。時代を先取りして世の中にないものを作りたいという創業の原点にあった物づくりの精神が、この名品を生んだのです」

決して最初から
好調だったわけではないスタート

1972年にアルビオンは超高級スキンケア“グランデューク”シリーズを発表し、その2年後に同シリーズから、さらにアクティブな効果をもつ“グランデューク エッセンシャル”ライン3品を発売。スキコンはその中の1品として誕生しました。ちなみに、製品名の『エッセンシャル』がつくのは、この時のなごりです。

大塚 「当時、一般的な化粧水の価格帯は700円~800円だったのに、150ml 5000円のスキコンは最初から勢いよく売れたわけではありません。しかし、販売店の方やBAたちが地道にサンプリングを行い、積極的に推奨いただいたことで徐々にお客様の口コミで広がっていきました」

アルビオンは店頭活動の一環として、1983年に「マスク美容法」をスタート。

大塚「スキコン人気に火がついたのはそこからで、体験されたお客様からは『気持ちがいい』『肌がしっとりした』など感動の声が寄せられ、これをきっかけにスキコンの知名度は一躍広がり、ほどなくミリオンセラーを達成しました」

スキコン、進化の歴史

誕生から50年、押しも押されもせぬロングセラーへと成長したスキコン。そんなスキコンは、古来から人間のすこやかな営みを支えてきたハトムギに着目。その品種や栽培法にもこだわり、さらには抽出にもひと手間かけています。

大塚 「これまで時代に合わせ少しずつ調整はしているんですが、製品としては1998年に有効成分としてグリチルリチン酸ジカリウムを配合し、「薬用」へとリニューアルしました」

――医薬部外品は、開発としてハードルが高かった?

大塚 「はい。こんなにも長く愛されている化粧水のリニューアルは本当に大変で。薬用にするというのは、有効性成分との兼ね合いがあり、その中で長年支持されている感触や香りを変えずして薬用にするのは、かなりの苦労がありました」

そして2011年には、使われているハトムギを、すべて国産ハトムギの『北のはと』に切り替えました。

写真はイメージです

大塚 「本来ハトムギは、熱帯の植物なんですね。北海道産の『北のはと』は、極寒の地でも育つよう品種改良された生命力豊かなハトムギで、国立研究開発法人 医薬基盤・栄養・健康研究所というところが20年かけて品種改良を行って生まれた品種です」

しかし、そこで満足することなく、さらなる進化を目指した結果が、完全有機栽培化です。同じ北海道で素材を求めて探索する中で剣淵町にある有機栽培生産者さまと出会い、2017年『オーガニック北のはと』が実現し、2022年には新たにハトムギの油溶性成分が加わり、抽出にもひと手間かけるなど丁寧な刷新を重ね、今日に至ります。

ハトムギオイル(※1)を加えて、
得られた新しい手応え

スキコンは、世代を超え愛され続けるロングセラー化粧水。これまではハトムギの有用成分のなかでも水溶性のエキスのみを配合していたのですが、2022年にリニューアルした際は、新たに油溶性成分の抽出と配合に成功しています。それが、ハトムギオイルです。

しかも、このハトムギオイル、30ml抽出するのに必要なハトムギは約1万粒。酸化しないように直前に脱殻・精白を行うことでフレッシュなオイルを抽出し、じっくり染み出させた後に余分なものを揮発させているのだそう。

丸島 「薬用スキンコンディショナー エッセンシャル Nには、エキスとオイルの両方を配合しているため、ボトル1本につき使っているハトムギの量も、今までと比べるとすごく増えているんです」

――求められるのは、
  数値では測れない感性のものづくり

丸島 「ただ、ハトムギオイルは油分なので、感触の調整にはかなり苦労しました。圧倒的に支持されてきたスキコンならではのベタつかず、キレのあるテクスチャーはまさに完成形。開発段階で試作品をいくつも評価するのですが、その中で処方の成分比率が0.001違うだけでも心地よさが後肌に影響を与えてしまうため、“これぞスキコン!“という感触の調整には細心の注意を払いました。スキコンならではの独特の清涼感は死守して、美容効果だけを更新したのです」

(※1)油溶性ヨクイニンエキス(保湿)
(※2)ヨクイニンエキス(保湿)

魂を込めて
愛情をかけて育まれたロングセラー

スキコンが大きな存在になったのは、製品力はもちろんのこと関わった人たちの深い“スキコン愛”と活動、さらにユーザーからの感動体験のレスポンスという良循環によるものではないでしょうか。

丸島「ロングセラーとは、製品力だけでなく、時間をかけて練られた“価値”が加わって育まれるもの。だからこそ変える部分と、価値を守って育てる部分を見極めながら、そのうえで鮮度を出すように注力しました。また、変化の激しい今の時代、“本当に必要なものしか要らない”という考えが増したようにも思います。価値観の変化の中で“スキコン”の刷新を手掛け、この先100周年を迎えられるような、存在感を示す商品であり続けなければという責任を強く感じました」



肌や美容に対する価値観によって現状に留まらず変わっていくべきですが、長く愛されている佇まいはそのままで、研ぎ澄ませていくのが正しい進化の姿でもあります。アルビオンには“育てる文化”があり、スキコンはアルビオンの企業文化そのもの。魂を込め、愛情をかけて育まれたロングセラーです。製品の才能を信じ、スタッフ全員がその良さを余すことなく伝えようと、あの手この手でスキコン活動を続けてきたからこそ、今の地位があるといえます。

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